供養諸仏(21)

(くようしょぶつ)

作塔の法は、下基(ゲキ)は四方にして欄楯(ランジュン)を周帀(シュウソウ)し、円に二重を起(タ)て、方牙四出(ホウガシシュツ)し、上に旛蓋(バンガイ)を施し、長く輪相(リンソウ)を表す。

塔を作る方法は、下の基壇は四角形で周りに欄干を巡らし、その上に円形の壇を築いて、四角い突起を四本出す。上には長く垂らした旗と天蓋を設け、長い相輪を立てる。

(モ)し、世尊は已(スデ)に貪欲(トンヨク)瞋恚(シンイ)愚痴(グチ)を除きたまふに、是の塔を用ふと言はば、為に越毘尼罪(オツビニザイ)を得ん。業報(ゴッポウ)重きが故に。是を塔法と名づく。

もし、世尊(釈尊)は貪りの心、怒りの心、愚かな心を既に除いておられるのに、この塔を使用していると言う者があれば、それは戒律を犯す罪となるであろう。その行いの報いは重いのである。これを塔の法という。

塔事とは、僧伽藍(ソウギャラン)を起こす時、先ず預(アラカジ)め好地を度(ハカ)り、塔処(トウショ)と作(ナ)すべし。
塔は南に在
(ア)ることを得ざれ、西に在ることを得ざれ、応(マサ)に東に在るべし、応に北に在るべし。

塔を建てて仕えるには、僧院を建てる時に、先ずはじめに塔に適した場所を探して、塔の場所を定めなさい。塔は僧院の南にあってはいけないし、西にあってもいけない。塔は僧院の東側や北側に建てなさい。

僧地は仏地を侵すことを得ざれ、仏地は僧地を侵すことを得ざれ。

僧院の土地は仏塔の土地を侵してはいけないし、仏塔の土地も僧院の土地を侵してはいけない。

若し塔 死尸林(シシリン)に近く、若しは狗(イヌ)の食(ジキ)して残し、持ち来りて地を汙(ケガ)さば、応に垣牆(エンショウ)を作るべし。

もし、塔が死人を葬る場所の近くで、犬が食べ残したものを持って来て、土地を汚すようであれば、垣根を作りなさい。

応に西、若しは南に在りて僧房を作るべし。僧地の水を仏地に流入(ルニュウ)せしむることを得ざれ。仏地の水は僧地に流入せしむることを得(ウ)

塔の西側か、もしくは南側に僧房を作りなさい。その時、僧房の土地の水を仏塔の土地に流入させてはならない。しかし、仏塔の土地の水は僧房の土地に流入させてもよろしい。

塔は応に高顕(コウケン)の処に在つて作るべし。塔垣(トウエン)の中に在つて浣染曬衣(カンセンシャエ)し、革屣(カクシ)を著(ツ)け、頭を覆ひ、肩を覆ひ、地に洟唾(イダ)することを得ざれ。

塔は高い目立つ場所に作りなさい。塔の垣の中で衣を洗って干したり、皮ぞうりを履いたり、頭や肩を覆ったり、地につばを吐いたりしてはならない。

若し是の言(ゴン)を作(ナ)さん、世尊は貪欲、瞋恚、愚癡を已(スデ)に除きたまふに、是の塔を用ふと。為に越毘尼罪(オツビニザイ)を得て、業報(ゴッポウ)重からん。是を塔事と名づく。

もし人が、世尊は貪りの心、怒りの心、愚かな心を既に除いておられるのに、この塔を自ら使用していると言うならば、それは戒律を犯す罪となり、その行いの報いは重いことであろう。これが塔に仕えることである。

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