出家功徳(26)

羅睺羅尊者(ラゴラ ソンジャ)は、菩薩の子なり、浄飯王(ジョウボンオウ)のむまごなり。帝位をゆづらんとす。しかあれども、世尊あながちに出家せしめまします。

羅睺羅尊者は、菩薩(出家する前の釈尊)の子であり、浄飯王の孫にあたる人です。王は羅睺羅に王位を譲ろうとしましたが、釈尊は強いて出家させました。

しるべし、出家の法 最尊なりと。密行(ミツギョウ)第一の弟子として、いまにいたりていまだ涅槃(ネハン)にいりましまさず。衆生の福田(フクデン)として世間に現住しまします。

このことから知りなさい、出家の法は最も尊いものであることを。羅睺羅尊者は、仏弟子の中で密行(戒を善く守る)第一の弟子として、今でも涅槃(死滅)に入ることなく、人々の福田(幸福の収穫をもたらす田)として世間に居られるのです。

西天(サイテン)伝仏正法眼蔵の祖師のなかに、王子の出家せるしげし。いま震旦(シンタン)の初祖、これ香至王(コウシオウ)第三皇子なり。王位をおもくせず、正法を伝持(デンジ)せり。出家の最尊なる、あきらかにしりぬべし。

西方インドで、仏の正法眼蔵(仏法の真髄)を伝えた祖師の中には、王子の身で出家された方が数多くおられます。今の中国の初祖(菩提達磨)は、香至王の第三皇子であり、王位を重んぜず出家して仏の正法を伝えました。このようなことからも、出家は最も尊いものであることが明らかに知られます。

これにならぶるにおよばざる身をもちながら、出家しつべきにおきていそがざらん、いかならん明日をかまつべき。出息入息をまたず、いそぎ出家せん、それかしこかるべし。

この人たちに及ばない身分であれば、すぐにも出家すべきなのに、何故急がないのでしょうか。どのような明日を待って決心するのでしょうか。息をつぐ間も惜しんで、急いで出家することが賢明というものです。

またしるべし、出家受戒の師、その恩徳すなはち父母にひとしかるべし。

又知りなさい、出家受戒の師の恩は、父母の恩にも等しいものです。

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