妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈(2)

(ミョウホウレンゲキョウ カンゼオンボサツフモンボンゲ)

或は枷鎖(カサ)に囚禁(シュウキン)せられて、手足に杻械(チュウカイ)を被(コウム)らんに、彼(カ)の観音の力を念ぜば、釈然(シャクネン)として解脱(ゲダツ)することを得ん。

もし首かせや鎖に拘禁されて、手足に手かせ足かせを繋がれても、この観世音菩薩の力を念ずれば、すぐにも釈放されて脱することが出来るであろう。

呪詛(ジュソ)、諸(モロモロ)の毒薬に、身を害せんと欲(セ)られん者、彼の観音の力を念ぜば、還(カエ)って本人に著(ツ)きなん。

呪いや多くの毒薬によって身を害されようとする者が、この観世音菩薩の力を念じるならば、その害は返って本人に付くであろう。

或は悪羅刹(アクラセツ)、毒龍、諸鬼等に遇(ア)わんに、彼の観音の力を念ぜば、時に悉く敢(ア)えて害せじ。

もし悪羅刹や毒龍、多くの鬼神などに遭遇しても、この観世音菩薩の力を念ずれば、皆あえて害を加えることはないであろう。

(モ)し悪獣 囲繞(イニョウ)して、利(ト)き牙爪(ゲソウ)の怖るべきに、彼の観音の力を念ぜば、疾(ト)く無辺の方(カタ)に走りなん。

もしも悪獣に囲まれて、鋭い牙や爪に恐怖しても、この観世音菩薩の力を念ずれば、それらは皆、速やかに無辺の彼方に走り去るであろう。

蚖蛇(ガンジャ)及び蝮蠍(フクカツ)、気毒(ケドク)煙火の然(モ)ゆるごとくあらんに、彼の観音の力を念ぜば、声に尋(ツ)いで自(オノズカ)ら廻(カエ)り去らん。

トカゲや蛇、また蝮やサソリなどの毒気が炎の燃えるようであっても、この観世音菩薩の力を念ずれば、その声によってすぐに帰り去るであろう。

(クモ)りて雷鼓掣電(ライク セイデン)し、雹(アラレ)を降らし大雨を澍(ソソ)がんに、彼の観音の力を念ぜば、時に応(オウ)じて消散することを得ん。

雷雲が轟き、稲妻が閃き、あられや激しい雨が降ってこようとも、この観世音菩薩の力を念ずれば、それに応じて雷雲は消え去るであろう。

衆生 困厄(コンヤク)を被(コウム)って、無量の苦、身を逼(セ)めんに、観音の妙智力(ミョウチリキ)は、能(ヨ)く世間の苦を救う。

人々が困苦を受けて、無量の苦がその身に迫っても、観世音菩薩の奥深い智慧の力は、よくその世間の苦を救うのである。

神通力(ジンズウリキ)を具足し、広く智の方便を修して、十方の諸の国土に、刹(クニ)として身を現ぜざること無し。種々の諸の悪趣(アクシュ)、地獄、鬼、畜生、生老病死の苦、以って漸く悉く滅せしむ。

神通力を具えて、広く方便の智慧を修めた彼は、あらゆる国土にその姿を現わして、人々の様々な悪道、地獄や餓鬼、畜生、生老病死などの苦を、次第に消滅させるのである。

妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈(3)へ進む

妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈(1)へ戻る

ホームへ