出家功徳(13)

仏の言(ノタマ)はく、「及び我に依りて鬚髪(シュホツ)を剃除(テイジョ)し、袈裟(ケサ)の片を著(ヂャク)して戒を受けざる者有らんに、是の人を供養せば、亦(マタ)乃至(ナイシ) 無畏城(ムイジョウ)に入ることを得ん。是の縁を以ての故に、我 是(カク)の如く説く。」

釈尊が言うことには、「私を拠り所にして髪を剃り袈裟を着けて、出家の戒を受けていない者もいるが、この人でも供養すれば、遂には畏れのない堅固な心を得ることができる。このような因縁があるので、私はこのように出家の功徳を説くのである。」と。

あきらかにしる、剃除鬚髪して袈裟を著せば、戒をうけずといふとも、これを供養せん人、無畏城にいらん。

この言葉から明らかに知られることは、髪を剃り袈裟を着けた者であれば、その者が出家の戒を受けていなくても、これを供養する人には、畏れのない堅固な心が得られるであろうということです。

又云はく、「若し復(マタ)人有りて、我が出家と為り、禁戒を得ざるも、鬚髪を剃除し袈裟の片を著せんに、非法を以て此れを悩害せん者有らば、乃至三世諸仏の法身(ホッシン)報身(ホウシン)を破壊(ハエ)す。乃至三悪道に盈満(エイマン)するが故に。」

また言うには、「又、私を拠り所にして出家となり、禁戒を受けずに髪を剃り落として袈裟を着ける人を、仏法に反していると誹謗する者は、遂には三世(過去世 現在世 未来世)の諸仏の法身、諸仏の成就した仏身を壊してしまうであろう。遂には三悪道(地獄 餓鬼 畜生)に堕ちる因が満ちるからである。」と。

仏の言く、「若し衆生有りて我が出家と為り、鬚髪を剃除し、袈裟を被服せば、設(タト)ひ戒を持せざるとも、彼等悉く已(スデニ)涅槃(ネハン)の印の為に印せらる也。

釈尊が言うことには、「もし、人々が私を拠り所にして出家となり、髪を剃り落として袈裟を着ければ、たとえ戒を守っていなくても、彼等は皆、涅槃(煩悩の消滅した安らかな悟り)に至ることが約束されるのである。

若し復 出家して、戒を持せざる者も、非法を以て悩乱 罵辱(メニク)毀呰(キシ)を作(ナ)し、手に刀杖を以て打縛(ダバク)斫截(シャクセツ)し、若しは衣鉢を奪ひ、及び種々の資生の具を奪ふ者有らば、是の人 則(スナワチ)三世諸仏の真実の報身を壊し、則 一切人天の眼目(ガンモク)を挑(クジ)るなり。

又、出家して戒を守らない者であっても、仏法に反していると誹謗したり、杖や刀で危害を加えたり、衣鉢や生活の道具を奪うなどする者があれば、この人は三世の諸仏の真実の仏身を壊し、人間界天上界の指導者を害しているのである。

是の人 諸仏所有の正法、三宝の種を隠没(オンモツ)せんと欲するが為の故に、諸天人をして利益(リヤク)を得ず、地獄に堕せしむるが故に、三悪道 増長し盈満(エイマン)するが為のゆえに。」

この人の行いは、諸仏の正法や、三宝(仏 法 僧という宝)の種を無くそうとする行為なので、天人たちの利益を得られず、地獄に堕ちて三悪道が増長し満ちるのである。」と。

しるべし、剃髪 染衣すれば、たとひ不持戒なれども、無上大涅槃の印のために印せらるるなり。ひとこれを悩乱すれば、三世諸仏の報身を壊するなり、逆罪とおなじかるべし。

この釈尊の言葉から知りなさい、髪を剃り衣を染めて出家すれば、たとえ戒を守っていなくても、無上の大涅槃の悟りが約束されるのです。人がこの者を誹謗すれば、三世の諸仏の成就した仏身を壊してしまうのです。それは逆罪(殺父 殺母 殺阿羅漢 破和合僧 出仏身血など)を犯すことと同じなのです。。

あきらかにしりぬ、出家の功徳、ただちに三世諸仏にちかしといふことを。

明らかに知られることは、出家の功徳は、すぐに三世の諸仏に近くなるということです

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